Sunday, October 23, 2011

理解ある妻という前提


 社会主義のもとでの、若者に対するレーニンの助言、若者はなにをすべきかという問いに対する彼の答えは、「一にも二にも勉強」であった。この助言はたえず引用され、学校の壁にも掲げられた。ジョークはこれをふまえたものだった。
 マルクスとエンゲルスとレーニンが、奥さんと愛人どちらを持ちたいか、ときかれる。私的な問題に関しては保守的であったマルクスは、予想どおり「奥さん」と答える。それに対し、享楽家であったエンゲルスは、愛人を選ぶ。そしてレーニンは以外にも「両方」と答える。なぜか。厳格な革命家というイメージの下に退廃的な享楽家が隠れていたからか。そうではない。彼はこう説明する。「両方いれば、奥さんには愛人のところに行ってくるといえるし、愛人には妻のところに帰らねばといえるからね……」。「それで、あなた自身はなにをするのです?」「ぼくは人里離れたところに行って、一にも二にも勉強さ!」

スラヴォイ・ジジェク『暴力––––6つの斜めからの省察』(中山徹訳、青土社)

No comments:

Post a Comment