わたしはキャンプに強く惹かれ、またそれに劣らぬ程強く反撥を感じている。だからこそ、わたしはそれについて語りたいと思うのであり、また語ることができるのだ。なぜならば、ある感覚に心からとけ込んでいるようなひとには、それを分析することなどできないからだ。そういうひとには、意図はどうあれ、その感覚を見せびらかすことしかできない。ある感覚に名をつけ、その輪郭を描いたり歴史を辿ったりするには、反撥によって制約された深い共感が必要なのである。
趣味能力を甘く見ることは、つまり自己を甘く見ることである。なぜならば、趣味は人間の自由な–––つまり機械的でない–––反応のすべてを支配しているからだ。
「人間を善いのと悪いのに分けるなんて、馬鹿げています。人間は魅力があるか退屈かですよ」 『ウィンダミア卿夫人の扇』
スーザン・ソンタグ「キャンプについてのノート」/『反解釈』(竹内書店)所収
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